僕は黙ったまま女子の方を向いた。
でも女子は、教壇で話しをする先生をじっと見据えたまま、僕と顔をあわせようとしなかった。
長い黒髪が女子の横顔を隠すように垂れていた。隙間から見えた肌はとても白く滑らかで、小６にしては大人びた顔をしている。
ホームルームが終わって休憩時間になった。
「あの……」
僕が文字のことを聞こうとすると、彼女は席を立って前に行ってしまった。
同い歳とは思えないほど背が高いと感じた。
彼女は、３人で固まっていた女子のグループに参加して、僕とのやりとりなんてなかったかのように、昨日のドラマの話しを始めた。
そのグループの女子は皆、高級メーカーのロゴ入りのキラキラしたパーカー、チェックのミニスカート、カラフルな縞模様のハイソックス姿だった。
４人で示し合わせて、子供ブランド服を着ているように感じた。
そして、グループ一帯だけ大人の女性がつけている香水のニオイがした。
