「リビングのインテリアは自分好みなのよ」

芹沢が一番奥のドアを開けて中に入った。薄暗い部屋に四人掛けの食卓が見えた。
傍にキッチンがあり、大きい冷蔵庫がブンブン唸る音が響いていた。
ダイニングと繋がっている隣の部屋に案内された。芹沢がカーテンと窓を開けた。外の光が射し込んできて部屋内がパッと明るくなった。
床に真っ白な絨毯が敷かれていた。中央に白い丸テーブルがあって、周りに白いソファーがあった。大きなテレビの上に、白い造花を生やした植木鉢の模型が乗っていた。
心地良い煙を出す蝋燭のような香りが部屋に充満していた。

散らかっている物がなく、テレビやテーブルの上に薄っすら溜まった埃が陽光で白く反射していた。あまり生活感がない。

「家の人はいつ戻ってくるの?」

「お父さんは一年前に外国に行って、来年戻ってくる予定。普段は親戚の家で世話になってるの。時々学校さぼってここに来るのよ」

確かに一人で住むのは寂し過ぎる。親子二人で住むにしても、広すぎる家だなと感じた。

「おいしいパスタ作ってあげるね。最近お肉ばかり食べてたから、今日はアサリとキノコのスープパスタね。この前、コンビニのパスタを真似て作ってみたけどコンビニよりおいしかったよ」