中央で畳まれた敷布団の上に、畳まれた掛け布団が乗っていた。布団の両端は空洞で、床が埃で白くなっていた。
ふと、敷布団の下に紙の破片を見つけた。茶色で三角形の形をしていた。
僕はそれを指で摘み取ろうとしたが、紙片が宙に上がらず指の間をすり抜けた。布団が重りになっているようだ。
片手で敷布団を持ち上げて、紙片を引いた。紙片がずるずる伸び出てきて長方形に変わった。それは、茶色い封筒だった。中で便箋らしきものが三つ折りされていた。
そっと取り出して、皺がつかないように開いた。
ボールペンで横書きされた文章が現れた。インクのニオイが強く感じるから、最近書かれた物だと分かった。
綺麗な字で丁寧に手書きされていた。

『この文章を最初に読むのは警察の方か、マスコミの関係者かは分かりません。もしかしたら、私が逮捕された後の家宅捜索によって陽の目を浴びるかもしれない。
6月15日に起こった出来事と自分自身の事を正直に告白しようと思います。
この日一日、食べることを我慢すれば良かった。前日の14日に食料を買っておくのを忘れたのが悲劇の始まりです。15日の午前中に、私はコンビニエンスストアに行って、一日分の食料として弁当を3つ買いました。帰宅途中、急に大雨が降ってきました。